イタリア発のファインチョコレートDOMORI/ドモーリ。
今回は、クリオロシリーズから
「Puertomar/プエルトマーレ」
ベネズエラにある契約農園、サン・ホセ農園にて栽培されたカカオ。
品種はオクマーレ61です。
少し長めの記事になります・・
ここでは何度も書いてますが、
ドモーリのタブレットは、カカオマスと砂糖のみで作ることで、その品種だけが持つカカオの個性をよりストレートに表現しています。
ドモーリ製品でも、製菓用のクーベルチュールにはカカオバターや乳化剤は入っており、同じ品種のクーベルチュールとタブレットを食べ比べてもその差は歴然です。
そもそも、カカオバターを加えるのが定番化しているのはなぜか?
一度チョコレートの歴史を遡って、固形のチョコレートが生まれる時代に目を向けてみましょう。
19世紀にチョコレート業界に大きな革命が起こりました。
1828年:クンラート・バンホーテンによるココアの発明(オランダ)
当時はまだ飲み物として愛好されていたチョコレート。
それまでドロドロして飲みにくかったものを、飲みやすいものにするため、カカオマスから油脂分であるカカオバターを抽出(油脂分はおよそ55%→28%に)。
それを粉末状にしてお湯に溶かしたものがココア。
ここで生まれた副産物が”ココアバター(カカオバター)”です。
1847年:ジョセフ・フライによる食べるチョコレートの発明(イギリス)
砂糖とカカオマスに、抽出されたカカオバターを加え固形のチョコレートが誕生。
カカオバターを加えることで流動性がよくなり、型に入れて様々な形のチョコレートが作れるように。
1876年:ダニエル・ピーターによるミルクチョコレートの発明(スイス)
1879年:ルドルフ・リンツによるコンチングの発明(スイス)
これらはチョコレートの4大革命と呼ばれ、現代のチョコレートに繋がる偉大な発明だったのがわかります。
注目したいのは、1847年の食べるチョコレートの発明。
当時の技術では、カカオマスと砂糖だけで商業ベースに乗せるだけのチョコレートを作ることは不可能で、カカオバターを加えることにより固形のチョコレートとして量産できるようになりました。
その後20世紀には大量生産技術が発達。様々な素材を加えることでチョコレート製品の多様化も進み、質より量が求められる時代に。
昔から上質なチョコレートを作る老舗は、伝統を守る為に昔ながらの製法にこだわるケースも多いです。
実際のところ、カカオ豆をすり潰して出来るカカオマスは約半分が脂肪分(カカオバター)ですが、そのままでは粘度が高すぎて、溶かしても流動性を示さず型に入れるのも困難です。
追加でカカオバターを少し加えるだけでも流動性がよくなり加工しやすくなるので、使用するのは当然かもしれません。(自分なりに実験もしてみました。)
一方、現代のドモーリが生み出すミニマムなチョコレートは、コンチングに代表される優れた技術も含めて可能であると思いますが、より少ない原材料で作るのは、素材の味を第一に考えるという点ではごくまともな流れだと思います。
そこでもう一つ思ったのが、カカオバターを加えなければより美味しくなるのか?
まず、カカオバターはくちどけを良くする一方で、香りにプラスになる要素はなく、これを加えることでチョコレートの香りが薄くなってしまうという特徴もあります。
ここ数年で、カカオバターを加えずカカオマスと砂糖のみで作るチョコレートを口にする機会も増えました。
カカオの香りが強く素晴らしい味わいを生み出すものもあれば、中にはクセが強すぎたり、ダイレクトに伝わる香りが好ましくない類いのもの。
あるいは食感が粘っこすぎる、ザラザラしているなど。チョコレートとしての総合的な美味しさを考えると、疑わしい品質のものも少なくありません。
逆に、当然のことですがカカオバターや乳化剤が含まれていても素晴らしい品質のチョコレートはたくさんあります。
味わいのバランス感やくちどけの良さ、整った質感なども含め、美味しいチョコレートを作る上では必要な原材料だとも思えます。
ではドモーリの場合何が違うかというと、あくまで高品質なカカオありきのチョコレートなのです。
チョコレートのクオリティを決める要素として、カカオの遺伝子が50%を占めるとの考えを元に、良いカカオを探し、栽培し、適切な発酵方法を研究し、そうして出来たカカオに必要以上手を加えず、カカオの持っている豊かな風味を最大限生かす方法でチョコレートを作ります。
カカオ豆の品種・品質が適切だからこそ、カカオマスと砂糖のみで美味しく仕上がっているのではないでしょうか。
今回プエルトマーレを選んだのは特に理由はありません。
とにかくクリオロシリーズはすべて食べ比べて、それぞれの味わいを実感してほしいタブレットです。
(現時点でのラインナップは、「プエルトマーレ」「プエルトフィーノ」「カノアーボ」「ポルセラーナ」「ジャヴァブロンド」「チュアオ」「グアサーレ」「オクマーレ77」「IL100%クリオロ」)
クリオロシリーズの中では唯一カカオ分75%。(その他は70%)
口に入れる前の香りの勢いから、口に含んだ瞬間吹き抜けるカカオの力強さはある程度共通する部分です。
プエルトマーレは、他と食べ比べをすると、苦味や渋味も感じるワイルドな印象。
いい意味での豆っぽさも残ってるんじゃないでしょうか。
力強い香りに若干のロースト感。
ナッツやパン、あるいはストロベリージャムを思わせる豊かなアロマ。
丸みを帯びた酸味も広がっていく中、クリオロ種ならではのミルクやクリームのようなまろやかさが包み込みます。
様々な要素が顔をのぞかせますが、全体的にはキュッと引き締まったまとまりの良さも感じます。
食感の良さも注目すべきところで、優しいくちあたりからのしっとりしたくちどけ。
カカオバターを加えずここまで自然な食感を味わえるものはそうないでしょう。
個人的には、クリオロ種だから優れているという考えはなく、様々な地域で作られる多種多様なカカオの風味を楽しみたいという気持ちもあります。
ただ、ドモーリが生み出すクリオロカカオ使用のチョコレートは、味がすべてを語っており説得力があります。
苦味の強いカカオの場合、加工によって苦味や酸味、渋味を軽減し、あるいは他の材料を混ぜることでおいしく仕上げる必要がある。
しかし元々のカカオの味が優れている場合、無駄に手を加える必要がない。
そういうことだと思います。
様々なダークチョコレートを食べてきた方にこそ味わってほしいです。
関連記事:
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チュアオ
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ジャンルーカ・フランゾーニ チョコレートレッスン
名称 | チョコレート |
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原材料 | カカオマス、きび砂糖 |
内容量 | 25g |
原産国 | イタリア |
輸入者 | 株式会社ノンナ・アンド・シディ |
価格 | 691円 |
Webサイト | http://www.domori.com |
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