阪急うめだ本店に現れた夢の売場タブレットチョコレートミュージアム。
400種類もあるラインナップの中で、一際マニアックな商品がこちらじゃないでしょうか。
デンマーク発のBean to Barブランド
「FRIIS HOLM/フリスホルム」の
「チュノ 70% ダブルターン」&「チュノ 70% トリプルターン」
同じカカオを使い、同じ分量で作られた2枚のタブレット。
さて、この2枚の違いは何でしょう?
実は、
発酵途中のカカオ豆を2回かき混ぜるか、3回かき混ぜるかの違い。
美味しいチョコレートを生み出すには、カカオ生産国での”発酵作業”が必要になります。
発酵方法は地域や農園によって様々ですが、今回のタブレットに使用されるカカオはボックス法(連続ボックス法)で5日間発酵作業を行っています。
といわれてもイメージが湧かない方もいると思います。
先日ショコラティエのミッケル・フリスホルム氏に直接お話を聞く機会があり、そのお話を元に図を用意しました。
この発酵方法は、雛壇状になった複数の木箱で構成され、まずは一番上の木箱にカカオ豆を投入。
数日置いた後、下の木箱に落としていく方法でこれを数回繰り返します。
箱を移し替える際に、中のカカオ豆が反転するので空気が注入されるとともに豆全体が撹拌されて均一な発酵ができる。
ある程度大規模な農園で使用されることの多い発酵方法です。
そこで今回の2枚タブレット。
まず「ダブルターン」は、この方法で5日間の間に2回ボックスを移し替えてカカオ豆を撹拌。
「トリプルターン」は、同じく5日間で3回ボックスを移し替えカカオ豆をより多く撹拌しています。
フリスホルムの農園では、一度に900kgのカカオ豆をボックスに入れるそうです。
さて、この違いでチョコレートに仕上がったとき、どれだけ味に違いが出るかを食べ比べできるのがこちらの2枚なのです。
発酵方法も発酵日数も同じ。
違いは”2回混ぜるか、3回混ぜるか”。
ここで興味を持った方のみ先に進んでください。
使用するカカオは、ニカラグア産の”チュノ”という希少な品種。
2枚とも同じカカオで作られています。
タブレットの形はボナと同じですね。
ボナは中央にブランドロゴが入っていますが、こちらは無地。
スペースがもったいない気もします。
2枚を並べてみます。
左の明るい方がダブルターン。右の濃い方がトリプルターン。
色がはっきりと違います。
発酵の違いだけでここまで違いがでるものでしょうか。
「チュノ 70% ダブルターン」
まず感じたのは、まろやかな口あたり。
そしてほのかなナッツ感や、スッキリとした酸味・渋味を持ったフルーツ感。
レモンやグレープフルーツを思わせる味わいでしょうか。
くちどけもスムーズです。
「チュノ 70% トリプルターン」
口に入れた瞬間、フワッと広がる甘い香り。
この時点で違いは明確です。
ダブルターンよりも香りがダイレクトに響きます。
カシューナッツのような香りに加え、キャラメルやハチミツを思わせる甘み。
70%の割りにとってもスイートな仕上がりで、ダブルターンよりもクリーミーです。
こちらは渋味や酸味がほとんどなく、ネガティブな要素をほぼ感じません。
面白い2枚ですね。思った以上に違いがありました。
ダブルターンは後味に渋味が残る印象もあったのですが、そのあたりが発酵方法によって取り除かれたりするのでしょうか。トリプルターンはとってもまろやかです。
気になったのは、見た目の色の濃さと、味わいが結びつかなかったので、こちらについても聞いてみると、
少なくともフリスホルムで扱うカカオに関しては、豆の色が明るいものがまろやかとは限らない。
発酵の混ぜる工程、1回目のボックスで何時間置くかなど、各回の時間の違いによっても色も味も変わってくるそうです。(ここにはアルコール発酵、乳酸発酵、酢酸発酵などの時間経過における微生物の働きなどが関係するのでしょうが、私の知識がついていけません。。)
ミッケル・フリスホルム氏は既存の情報などに疑問を持ち、試行錯誤しながら自らの味覚で確かめると言います。その結果導き出されたのが今回の2種類の発酵方法なのでしょう。
ここからは経験したものしか分からない領域です。
ダブルターン/トリプルターン。どちらも個性があって味わい深く、どちらの方法も正解なんだと思います。
焙炒時間やコンチング時間など、より専門的な情報を表記するタブレットが増えてきましたが、発酵の違いを打ち出したのはこちらだけだと思います。
名称 | チョコレート |
---|---|
原材料 | カカオ豆、砂糖、カカオバター |
内容量 | 各100g |
原産国 | デンマーク |
輸入者 | (有)ぜろななはち |
価格 | 各2484円 |
Webサイト | http://www.friis-holm.dk/en/ |
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